下宿へ入るまでの準備はすでに夏前から始まっているといってよいでしょう。合格発表通知が自宅に届いた時から動いていては遅すぎます。早い人たち、特に親御さんは志望校を決めた時から下宿探しのために資料を取り寄せたりして情報収集を行っているようです。
食事つきの下宿や学生会館などは早く契約しても家賃の支払いは4月からになるので、便利で条件の良いところは年内にも満室になってしまうこともあります。
したがって、一人暮らし希望の受験生は、受験勉強の気晴らしに、夏ぐらいから下宿のための情報収集を始めた方がよいでしょう。これがかえって受験勉強の励みにもなります。
下宿へ入るまでの準備は、慎重になることも必要ですが、あまりのんびり構えていると自分の理想の物件に出会えなくなることもありますので、少なくとも候補の絞り込みまではしっかりやっておきましょう。
このページでは準備段階を、(1)「下調べから契約まで」、(2)「親元で準備するもの」、(3)「下宿に入る時に準備するもの」の3段階に分けて詳しく紹介していきます。
下宿へ入るまでの準備として、まずは下宿探しからスタートします。インターネットで情報を集めたり、大学の学生課などから資料を取り寄せたりして、候補を2~3件に絞っておきましょう。
大学から徒歩圏内の近くの下宿なら交通費もかからず時間も短縮できるのでベストですが、お友達のたまり場になるのが嫌な場合は、多少離れた下宿を選ぶ手もあります。
候補が決まれば、実際に見に行くことをオススメします。地方からはなかなか行けない場合でも、オープンキャンパスの時や受験時のついでに見学に行ってください。
そこで大家さんと顔を合わせ、入居に関する基本事項をしっかり伺ってくることと、部屋の間取りや、必要なものをあらかじめ聞いておきます。特に窓の位置や寸法をはかっておくと、カーテンを設置する上で参考になります。またお部屋のコンセントの数や下宿生が共同で使える冷蔵庫や電子レンジなどは購入する必要のないものもですので、しっかりとチェックしておきましょう。
なお、下見の時にはできるだけ親御さんと行ってください。自分だけですと、見落とすこともあるかも知れませんので、親御さんの目でも見てもらうことが必要ですし、気に入ったら、その場で契約することもできます。(合格が決まっていなくても、下宿は事前契約が可能な場合が多いです)
契約の前に、ルールや決まりごとが記された冊子を使って下宿生活のアウトラインを説明される場合もあります。内容は下宿によって様々ですが、具体的には食事の時間、お風呂の使い方、外泊するときの連絡方法など集団生活する上で必要な事項が記載されています。
賃貸契約書については、家賃の金額、納入方法、禁止事項や解約、退去の方法など重要な事項が書かれていますので、しっかり目を通して分からないことがあればどんどん質問してください。
契約については下見からそのまま契約という場合もありますし、一度下見をして別日に契約という形もあります。何度も下宿先に足を運んで下見をするのが大変な場合は、それまでにしっかり情報交換を大家さんとしておくことが大切です。
いずれにしても大切な下宿選びですので、十分に保護者の方と話し合いをして物件を決めましょう。
下宿先が決まれば、下宿生活を送るうえで必要なものを早めに準備しておいた方がよいでしょう。下宿先で購入できるものは後で揃えることにして、まずは当面の衣類は必要になります。春先とはいえ夜は冷えますので、トレーナー、パーカーといった防寒着も忘れないようにしましょう。
洗面用具、タオル(洗面用・入浴用の2種類)そして掃除用の雑巾、ハンガーは直ぐに必要になります。また環境の変化で体調を崩しやすい人は、自分に必要な常備薬を持っていきましょう。御守り代わりにもなります。
段ボールは数箱用意しておくといいでしょう。持ち運びの便利なサイズと比較的丈夫な段ボールがベストです。あと布団の用意も必要です。筆者(下宿生の先輩)の友人は寝袋を持って行ってしばらくその中で寝ていましたが、これは例外です。
そしてもうひとつ。引っ越し当日までに確認してほしいのは「遠隔地に住む学生用保険証」です。いつ何時、病気や事故に見舞われることがあるか分かりません。見ず知らずの土地でいきなりけがや病気になった場合は不安ですよね。その時はこの保険証がとても重要になります。この学生用保険証は、進学などで保護者の扶養に入っているけれども、近くにその保護者が住んでいない、つまり保護者と学生の住所がそれぞれ違う場合に、特別に作られる保険証です。名称が自治体によって若干異なることがありますが、国民健康保険の場合は自治体の役所に、健康保険の場合は保護者の会社に申請書を出すことになります。ただし、印鑑や住民票(新しく下宿で住む所)、また在学証明書の提出が求められることになっていると思いますので、在学証明書が入手できるようになったら早めにとりかかりましょう。
すでに保険証が家族一人につき一枚ずつ交付されている場合は、特に新しい手続きの必要はないようですが、保険証の裏面の住所欄は新しく住む下宿先に変更する必要があるでしょう。詳しくは保護者から会社や自治体のほうに確認してもらうとよいでしょう。
いざ引っ越しとなると最初に思い浮かぶのはテレビCMなどに出てくる引っ越し業者ではないでしょうか。しかしここでは敢えて、実家から自家用車で運ぶ方法を紹介します。それにはいくつかの理由があります。もちろん下宿先と実家が飛行機を使う必要があるぐらい遠い場合は、業者にお願いしたほうが無難でしょう。ただそれなりに費用がかかることは知っておく必要があります。
自家用車利用を勧める理由はなんと言っても費用です。経費がガソリン代(高速を使う場合は高速代も)のみで済みます。下宿先へ自動車で移動が可能な場合は、当面必要な荷物の運搬は自家用車で十分な場合が多いのです。基本的な大きな荷物(コタツや机など)は現地で安く調達したほうがお得でしょう。(4年間、壊れずに使える程度ものでいいかと思います)
ただ、下宿で学習する場合、机派かコタツ派で分かれます。コタツのほうがテーブル代わりになるので何かと都合が良いですが、机といすでしっかり座ってレーポートなどを書かないと落ち着かないという人は現地で机選びをするのも楽しいかもしれません。ちなみに学生会館や学生寮では机が備えつけられている場合が多いようです。
大切なのは必要なものを厳選して、余分なものを持っていかないことです。生活するうちにいろいろなものが増えて、かえって邪魔になる場合が多いようです。
そのようにすれば余程のことがない限り、一回の移動で事足りるはずです。後は段ボールに下宿へ持っていく物を小分けして効率よく入れることです。前述しましたが、段ボールは大人一人が持てる程度の大きさのものがよいでしょう。下宿先の廊下が狭い場合もあるからです。
また引っ越しの際に忘れてはいけないのは、大家さんへ入居予定日に荷物を搬入することを事前に知らせることです。これをうっかり忘れてしまうと印象が良くありません。それに引っ越しのことを知らないと、大家さんが別の用事で出かけてしまうかもしれませんので、決まり次第できるだけ早めに連絡をしましょう。